愛の音楽家エドワード・エルガー

英国三大オラトリオ

英国には、いわゆる「三大オラトリオ」と呼ばれる作品群が存在する。
一般に挙げられるのは、
①エルガー《ゲロンティアスの夢》
②ヘンデル《メサイア》
③メンデルスゾーン《エリヤ》
である。

 

だが、この定義には少なからず違和感が残る。

 

まずヘンデルである。生誕はドイツ、しかしその後イギリスに帰化し、創作活動の中心もロンドンに置いた。英国音楽史の中核を成す存在であることは疑いようがないが、それでも文脈によっては「ドイツの作曲家ヘンデル」と紹介されることがある以上、「純英国産」と言い切るには微妙な引っかかりが残る。

 

さらにメンデルスゾーン《エリヤ》に至っては、その違和感はより明確だ。初演のバーミンガムでの演奏は英語テクストで書かれ、英国の合唱文化と不可分な作品であることは確かだが、作曲家自身はドイツ・ロマン派のど真ん中に位置する人物である。「英国のオラトリオ」と呼ぶには、やや無理筋という印象は否めない。

 

そこで発想を転換したい。
誰からも文句をつけられない、“純英国産”の三大オラトリオを改めて設定してみよう、という試みである。

 

まず、エルガー《ゲロンティアスの夢》は揺るがない。
作曲家、テクスト、思想背景、受容史――そのすべてにおいて、これほど英国的文脈に根差したオラトリオは他に存在しない。

 

次に挙げるべきは、ベンジャミン・ブリテン《戦争レクイエム》であろう。
20世紀英国を代表する作曲家による、国際的評価・演奏頻度・思想的射程のいずれを取っても圧倒的な存在感を放つ作品であり、これを外す理由は見当たらない。《ゲロンティアス》と並び立つ「もう一つの英国的精神の結晶」と言ってよい。

 

問題は三つ目である。

 

候補として真っ先に挙がるのは、
ウォルトン《ベルシャザールの饗宴》
ホルスト《イエス賛歌》
の二作だろう。

 

いずれも英国合唱音楽の金字塔であり、英国内での評価も高い。だが、どちらか一つを選べと言われると、判断は容易ではない。
さらに視野を広げれば、ディーリアス《人生のミサ》、ヴォーン・ウィリアムズ《ドナ・ノービス・パーチェム》、ティペット《我らの時代の子》を推す声も当然出てくる。

 

しかし、ここでは一つの基準を設けたい。
それは世界的な知名度と実演史である。

 

この観点から見ると、《イエス賛歌》は評価の高さに比して実演機会が限られている。一方、《ベルシャザールの饗宴》は英国国内のみならず、国際的にも比較的頻繁に演奏され、日本においても実演に恵まれている作品である。

 

以上を踏まえるなら、
第三の座はウォルトン《ベルシャザールの饗宴》に軍配が上がる
という結論に至るだろう。

 

 

では、発表!純英国製の英国3大オラトリオ

 

①エルガーのゲロンティアスの夢

 

英国三大オラトリオ

 

②ブリテンの戦争レクイエム

 

英国三大オラトリオ

 

③ウォルトンのベルシャザールの饗宴
英国三大オラトリオ

 

次点
ホルストのイエスの賛歌

 

英国三大オラトリオ

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