シルヴェストリのエルガー
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮、ボーンマス響によるエルガーの交響曲第1番。1966年の録音。
購入したのも記憶にないくらいで聴いたかどうかすら記憶にないもの。
おそらく「レコ芸」でライターをやっていた時代に「海外盤試聴記(のちの海外盤レビュー)」に寄稿するための一枚だと思われる。
記憶にないというのは、この時はおそらく他のライターさんが先に書くことが決まっており書けなかったのではないかと思う。「レコ芸」では、この手の熾烈な闘いが毎回あって結構ライターは仕事を取るために必死だったりする。編集社から「これ書いてください」と支給されるのは、大物ライターや評論家くらいである。辛くも私も何度かあった。基本全てライターの自腹。意外に知られていない事実。なのでライター同士は結構仲が悪い(笑。
というわけで、聴いてみたシルヴェストリ。これがなかなか素晴らしい。録音も古いし、収録時間を見てもテンポ速めの演奏だとわかるのでアッサリ系を想像していた。
しかし、その飄々としたテンポはキリリと締まっており、それでいてフォルムを崩すことなく進められる。
66年といえば、まだボールトもバルビローリも活躍していた時代。そんな彼らの陰に隠れるかのような名演を見つけた喜びを感じる。
ボーンマス交響楽団は、ボーンマスシンフォニエッタの母体となるオケで、チャールズ・グローブスの後任としてシルヴェストリが着任している。前任者グローブスが温めたエルガーサウンドを残していたのをそのままシルヴェストリが引き継いだのであろう。