再びロンドンへ

エルガーによるタイタニック葬送のエニグマ:1912年5月24日ロイヤル・アルバート・ホール

 

エルガーとタイタニック号を巡る意外な繋がりとは・・・。

 

1912年5月24日にロイヤル・アルバート・ホールで行われたタイタニック号犠牲者追悼記念コンサート。

 

🎵 タイタニック追悼記念コンサート(1912年5月24日)

■ 概要
タイタニック号沈没から約1か月後に開催された。

 

参加オーケストラは、ロンドンの主要7団体(Philharmonic, Queen’s Hall, LSO, New Symphony, Beecham Symphony, Royal Opera, London Opera House)から総勢約500名。演奏者総数は約472〜500人とされ、「史上最大級のプロ奏者集団」。

 

 

指揮者は、サー・エドワード・エルガー(LSO担当)、サー・ヘンリー・ウッド、トーマス・ビーチャム、ランドン・ロナルド、パーシー・ピット、フリッツ・アーナルディ、ヴィレム・メンゲルベルク(ベルリンから来英)。

 

■ プログラム

 ショパン「葬送行進曲」(ウッド編曲)

 

 サリヴァン「In Memoriam」序曲(パーシー・ピット指揮)

 

 エルガー「エニグマ変奏曲」全曲(エルガー自身が指揮)

 

 

他に、チャイコフスキー、ワーグナーなどの荘厳な管弦楽曲がプログラムに含まれた。

 

最後に合唱で「Nearer, My God, to Thee」が演奏され、演奏者・聴衆全員が参加した。

 

 

エルガー自身が参加・指揮した経緯

エルガーは当時ロンドン交響楽団の音楽監督を務めており、記念コンサートにおいて「エニグマ変奏曲」で自身の楽曲を披露した。この選曲は、およそ最も英国的で感情の深い作品とされるエニグマを通じて、タイタニックの悲劇を音楽的にも象徴的にも追悼する意図があったと考えられる。

 

 

演奏の意義

当日は「英国最大の音楽家たちが国を挙げて喪に服する」象徴的なイベントであり、演奏家・聴衆全員による“Nearer, My God, to Thee”の合唱は強い連帯感と哀悼の意思を示した。

 

エルガーとタイタニックとの関連性

記録として、エルガーはこのコンサートにて、指揮者の一人として演奏活動に参加している。またプログラムの中心楽章に自身の代表作を選んだ点からも、彼なりの深い共感と象徴的追悼を意図したものと推察される。

 

タイタニック号演奏者とエルガー楽曲の重なり

船上で演奏に携わったタイタニックの楽団員(ヒル、クラインス、ブライリー、ウッドワード、クローク、テイラー、ブリクー、ハウム)は全員早逝したが、彼らの犠牲と勇敢さは、記念コンサートの荘重なプログラム構成にも現れている。記録には残っていないが、当時の音楽的潮流を考えればエルガーの作品もタイタニック船上で演奏された可能性は高いと思う。

 

 

1912年5月24日にロイヤル・アルバート・ホールで開催されたタイタニック号追悼コンサートで、エルガーは「エニグマ変奏曲」を指揮し、英国音楽界を代表して追悼演奏を行った。

 

演奏後には合唱による「Nearer, My God, to Thee」でコンサートを締めくくり、音楽を通じた連帯と祈りの場を作り出した。

 

歓楽から犠牲、連帯へと転じたこのイベントは、エルガーが単に楽曲を提供しただけでなく、音楽によって感情的な共鳴と歴史的追悼を意図した重要な機会である。

 

これらの情報から、エルガーはタイタニック号事件にただ偶然関わったのではなく、音楽家としてどのように意味ある参加をしたのか、そして作品を通じていかに深い祈りと追悼を表現したかが浮かび上がる。

 

 

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