切なかったエルガー交響曲1番の演奏
水星交響楽団 第68回定期演奏会
2024.10.27(日)ミューザ川崎シンフォニーホール
アルフレッド・ニューマン:20世紀FOXファンファーレ
ジョン・ウィリアムズ:映画「スター・ウォーズ」より*
1.メイン・タイトル
2.ジェダイへの階段〜フィナーレ (エピソードVII フォースの覚醒)
3.運命の闘い(エピソードI ファントム・メナス)
4. アクロス・ザ・スターズ(エピソードII クローンの攻撃)
5.英雄たちの戦い(エピソードIII シスの復讐)
6.ヨーダのテーマ(エピソードV 帝国の逆襲)
7.酒場のバンド(エピソードIV 新たなる希望)
8.ハンソロとレイア姫(エピソードV 帝国の逆襲)
9.最後の戦い(エピソードIV 新たなる希望)
10.王座の間とエンド・タイトル(エピソードIV 新たなる希望)
エドワード・エルガー:交響曲第1番 変イ長調作品55
指揮:齋藤栄一
管弦楽:水星交響楽団
合唱:オルフ祝祭合唱団
伊福部昭の作品を演奏するコンサートで割とよく体験すること。
伊福部のコンサートを聴きにくる客層は基本的に3種類に分かれる。
①クラシックなど全然興味ないけど、とにかく特撮大好きゴジラ大好き!という層。いわゆる「オタク」と呼ばれる人たちね。その流れで伊福部マーチを聞くと血が騒いじゃう人たち。
②伊福部の映画音楽も純音楽作品もどちらも好きという純粋な伊福部ファン。
③特に伊福部に限らずクラシック音楽全般が好きな層、もしくはそのオケの定期会員。
曲目によってはこれらの層が入り混じる。
①の客層しか集まらないような特殊な演目ならさほど問題は起きない。
問題なのはこれら全部が集まるようなコンサート。
例えば、前半がゴジラ音楽特集で後半がシンフォニカタプカーラ みたいな純音楽作品プログラムとか。
①の人たちはクラシックコンサートマナーを知らない、もしくは気にしない割合が結構大きい。
どういうことが起きるか?音楽に合わせて体をゆすったり、おしゃべりしたり、ガサガサ物音を立てたり、組曲なのに楽章毎に拍手したり・・とカオスな状態になる。これが①しかいない会場なら別にいいだろう。
しかし、②③の層の人たちにとっては①の行動は不快でしかない。いや、演奏者にとっても不快と感じる人たちはいる。
伊福部作品のコンサートではこういうことがよく起こる。
伊福部の純音楽作品だけのコンサートなら①の層の人たちは来ないのでとても平和である。
これと同じことが、10月27日のミューザ川崎における水星交響楽団のコンサートで起こってしまった。
前半スターウォーズ、後半エルガーの交響曲第1番。
前半は正に①のスターウォーズ大好きな客層が大活躍。皆さんノリノリで凄いこと凄いこと。
特に組曲の各楽章に全部拍手を入れる。最初は指揮者も軽く会釈するもののやりづらそう。
次からは完全無視。①の人たちに少しでも「空気を読む能力」があれば、ここは拍手してはいけないのだと気づくものであるがそれも叶わなかった。
①の人たちには「拍手は指揮者が客席を向いたら」
というところから啓蒙しなければならないのだろうか?
とても不安になった。別にスターウォーズでは勝手にやってもらってもいいが、後半のエルガーでこれをやられたら、それこそ地獄だ・・。こんな低次元な心配をしながら鑑賞しなくてはならないとは・・。
結果は案の定。第3楽章アダージオが静かに終わり、第4楽章もまた静かに始まろうとする、その間に拍手をしたバカがいた。一番やってほしくなかった場面だ。全て台無しである😠。フライング拍手とかフライングブラボーと同じ次元である。そもそもスターウォーズでノリノリだった客層の多くはエルガーでは居眠りしている人たちも多かった。だったら前半終わったところで帰ればいいのに。
最後のアンコールのダースベーダーでは居眠りチームは大復活してノリノリ。ついていけん、もう。
演奏自体は素晴らしいものだったのに残念である。
プログラムというかマッチメークとはいかに大事なのかということを痛感させられた。確かにこのマッチメークはキツかった。
スターウォーズに罪はないのだが、これをキッカケにSWが嫌いになった。こういうマッチメークはダメだよ。次にこういうマッチメークのコンサートがあったら聴きに行ってはダメだということを学習した。「水響」だからといってあまりにも「酔狂」すぎるのも考えモノである。
「客がクソ過ぎて台無しになった残念なコンサート」という貴重な体験をすることになったのであった。