ヨーヨー・マのチェロ協奏曲
ヨーヨー・マの演奏するエルガーのチェロ協奏曲。
彼の演奏によるエルガーのチェロ協奏曲がYouTubeに2種類上げられている。
一つは1994年のデヴィッド・ジンマン指揮、ボルティモア交響楽団との日本公演のもの。
そして、その3年後にシカゴ響で、あのバレンボイムの指揮により実現した演奏。
悲劇のイメージが付きまとうエルガーのコンチェルトと、どこか明るいイメージキャラのマ。一見すると、どうも不釣り合いな感じが否めない。
しかし、そんな先入観に捕われずに聴いてみると、これが案外とマッチしていることに気づくであろう。
ヨーヨー・マってこんな音色が出せるのか!
いつもニコニコしているイメージのある彼だが、演奏中の苦渋に満ちた表情、時には恍惚としたセクシーささえ感じさせる表情。
それが正に音楽の核心をついた音色を紡ぎ出す。
温かい音色は正にエルガーサウンドだ。
それもそのはず彼が弾いているチェロは、あのデュプレが所有していたダヴィドフなのだから。
マというよりも、あれはダヴィドフに深く刻み込まれたデュプレの霊が出させている音なのではないか?とさえ思いたくなる。
しかし、損をしているなと思うのが、どちらの演奏もジンマンにバレンボイム・・・・・・。
もったいないことこの上ない。もう少しマシな指揮者と組ませたら一体どうなっていただろうか?
と、返す返すも残念なのである。
それと、もう一つ、ヨーヨー・マが、エルガーのチェロ協奏曲の名演を成し遂げたという伝説を阻む「残念な事件」があるというのも影響していると思う。
それは・・・・・・・。
1999年10月16日カーネギーホールでの公演後、なんと彼はダヴィドフをタクシーに置き忘れるという大失態を犯してしまう。
当時の価値で350万ドル以上(日本円で推定5億円)、いや金額よりも、あのジャクリーヌ・デュプレの魂が入っている楽器である。
それをタクシーに置き忘れる!結果的には数時間後に発見されて彼の手元に戻ったとはいえ、そんなことが許せるわけがない。
このエピソードがエルガーのチェロ協奏曲のインタープリターとして認められることに対してのバイアスとなってしまっているような気がして仕方がない。
これもきっとデュプレの呪いの一つなのかもしれない。
ということで、何とも評価しがたい存在のヨーヨー・マによる演奏である。
1994年ジンマンとの日本公演
1997年バレンボイムとのシカゴ響の演奏