再出発・・・合唱音楽の里

エルガーのシェッド交響曲1番「ウィンズロー夫人の癒しのシロップ」

エルガーは、ヴァイオリンやピアノのごく初歩的なレッスンしか受けたことがなかった。
このことは、1878年4月から1881年まで、エルガーが日曜日の午後に数人の友人たちのために作曲した音楽が物語っている。
そのアンサンブルは2本のフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)からなる木管五重奏で、それぞれ能力の異なるアマチュアが演奏していた。
;エルガーの弟フランク(オーボエ-明らかに傑出した奏者)、ヒューバート(後のウースター市長)とウィリアム・レスター(フルートとクラリネット)、フランク・エクストン(フルート)、そしてエドワード・エルガー(ファゴット。時にチェロ)である。

 

この木管アンサンブルは珍しいものであったため、演奏可能な既存のレパートリーがなく、エルガーがすべて作曲または編曲した。
;このアンサンブル(後にヴァイオリンとチェロも加わり、エルガーは後者を演奏)は、毎週日曜日の午後にエルガー・ブラザーズの楽器店の裏の小屋に集まり、「ブラザーズ・ウィンド」または「サンデー・バンド」と名乗り、田舎のイベントで多くの地元の人々にセレナーデを披露した。
特にエルガーは、この音楽を「小屋(シェッド)の音楽」と呼び、第7巻に「シェッド1」「シェッド2」などと記した。 ドイツ語の 「Harmoniemusik」(管楽器のためのセレナーデ)を英語化したものである。シェッドと名付けられたそのスケッチブックは実際にヒューバート・レスターによって保存され、現在は大英図書館に所蔵されている。
エルガーはこの管楽五重奏曲を交響曲にしようとはこの時は考えなかったようだ。とはいえ、『ハーモニー・ミュージック』のいくつかの作品が古典的なソナタ形式であることは事実で、この若い作曲家が父親の店で楽譜をよく研究し、スケールの大きなことを考えていたことを示している。実際、その多くの作品は古典的な交響曲の形式をとっており、28分前後の作品が多い。これらの「シェッド交響曲」と称してよさそうなものが全部で4つあり、その1番目がこの「ウィンスロー夫人の癒しのシロップ」で第2楽章ということになる。

 

 

「ウィンスロー夫人の癒しのシロップ」として知られる曲。プロムナード第3番からなる交響曲第1番「シェッド」ともいえる内容である。 作曲は1878年。 「ウィンスロー夫人の癒しのシロップ」は当時発売されていた薬品で、歯が生えた赤ん坊のためのもので、その成分はモルヒネだった。
エルガー自身も歯痛に悩まされていたとのことなので、彼にとってもお馴染みの薬品だったのかもしれない。

エルガーのシェッド交響曲

 

フィリップ・ブロックの編曲をDTM再現。

 

I. Harmony Music 4: The Farm Yard: 00:00
2. Adagio cantabile: Mrs Winslow’s Soothing Syrup: 12:50
3. Presto: Promenade No. 3: 19:07
4. Harmony Music 1: Allegro molto: 23:40

 

 

エルガーのシェッド交響曲2番

エルガーは、ウスターの10番地にあったるエルガー・ブラザーズ楽器店の裏の小屋に集まった友人たちと定期的に演奏していた。
このグループの楽器編成が型破りだったため、エルガーはすべての楽譜を作曲または編曲し、7冊の本(シェッド1、シェッド2など)にまとめてスケッチブックに保管した。

 

 

エルガーは、22歳の誕生日を目前に控えた1879年3月から5月7日にかけて、交響的ソナタ形式の4楽章セレナーデとしてこのハーモニーミュージック5番を書いている。
この曲(ハーモニー・ミュージック5)は、シェッド交響曲第2番とも呼ぶべき充実した出来のものとなっている。

 

フィリップ・ブロックの編曲をDTM再現であるが、クラシック・オーケストラ用に採譜した結果、ホルンをD、トランペットをDとCとして処理されている。

 

 

 

1. Andante moderato 00:00
2. Menuetto 13:06
3. Andante 20:25
4. Allegro 26:56

 

エルガーのシェッド交響曲第3番

若き日のエルガーが、彼の兄弟や友人たちとグループを結成しており、エルガーはファゴットの代わりに時にチェロを担当し、2本のフルート、オーボエ、クラリネットにヴァイオリンが加わった。エルガーのそのグループのために作品を残している。
それらは、まるで初期のメンデルスゾーンを思わせるような優雅な作品も生まれたり、エルガーの作曲家としてのキャリアを語る際に重要なシーンともなっている。

 

それらの作品群で未完成のものがエルガーのスケッチブック「シェッド」の中にある。
そのグループのために書かれた最後の方にある2つの作品は完 ト長調のソナタ形式の冒頭楽章、スケルツォ(第7曲集)、アンダンテ・アリオーソ(第6曲集)である。
この中のスケルツォが、1962年BBCでケン・ラッセルのドキュメンタリー「エルガー」の中で使用されている断片である。
かつて、ラッセルのドキュメンタリーで使用された作品名を大調査したことがあるのだが、最後までどうしても曲名が判明しなかったのがこの木管曲だった。それが今回あっさり解明したのである。

 

 

この4つの楽章すべてがうまく組み合わさって、充実した4楽章の交響曲として聴けるような構成となっている。
あたかもエルガーのシェッド交響曲第3番とも呼ばれてもおかしくないほどロマン的なのものである。
「シェッド交響曲」と称してよさそうなものが全部で4つあり、これはその3番目という意味である。
ベートーヴェンはスケルツォ、さらにはメンデルスゾーンとシューマンは、グノーとサン=サーンスの曲想をも連想させる。
フィリップ・ブロックの編曲をDTM再現。

 

 

1. アレグロ 00:00
2. スケルツォ 09:17
3. アンダンテ・アリオーソ 13:45
4. アレグロ・モルト 25:58

 

 

 

 

ケン・ラッセルの「エルガー」での該当場面

エルガーのシェッド交響曲4番「ネリーシェッド」

エルガーは、ウスターの10番地にあったるエルガー・ブラザーズ楽器店の裏の小屋に集まった友人たちと定期的に演奏していた。
このグループの楽器編成が型破りだったため、エルガーはすべての楽譜を作曲または編曲し、7冊の本(シェッド1、シェッド2など)にまとめてスケッチブックに保管した。
それらの作風は、まだ成熟したものとはいえないものの、実際には古典的な交響曲の形式をとっており、28分近い大作も多い。
その中でもシェッド交響曲と呼んでもよいではないかという大作が4つもある。これはその4番目ということになる。

 

この作品は、バロック的というよりは古典的なモデルを持っている。
古典的なソナタ形式の実質的な楽章で始まるが、その後にバロック舞曲組曲のような4つの短い舞曲が続く。ガヴォット、サラバンド、ジーグ、そしてミュゼット風のトリオを伴うポロネーズである。
第一楽章はネリーシェッドの別名もある。ネリーとは、アリスで出会う前のエルガーが婚約直前までの関係にあった女性の愛称である。
第三楽章サラバンドは、未完であった歌劇「スペインの貴婦人」の中でも登場する、

 

トランペットもドラムもない、とても小さなオーケストラのためのスコアとしてのフィリップ・ブロックの編曲をDTM再現。

 

この最後のシェッド交響曲が、とても魅力的な初期のエルガー音楽をより多くの聴衆知ってもらえることを願わずにいられない。

 

I. Allegro non tanto(Nelly shed) 00:00
II. Alphonsa Gavotte 08:20
III. Sarabande 11:52
IV. Gigue 14:53
V. Polonaise & Musette 18:10

 

 

 

これらエルガーのシェッド交響曲などがまとめられているpabmusic1のYoutubeページ
https://www.youtube.com/@pabmusic1

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