尾高のエルガー2番(2023)
エルガー交響曲第2番、尾高さん指揮、都響を聴きに行く。
この曲は1911年の完成であるが、実際にはエルガーはアイデア自体もっと前から温めていた。
1904年にエルガー一家がイタリアのアラッシオでバカンスを過ごした際のことを同行したローザ・バーリーが著作である「エドワード・エルガー交友録」に記している。
このアラッシオ滞在中にエルガーが盛んに口ずさんでいたメロディがあったという。
彼女は交響曲第2番の初演を聴いた際にエルガーが口ずさんだメロディがこの2番の中のものであることに気がついた。
このメロディとはどこの部分なのだろうか?
こういうことが気になってしまう。
ローザの記述によると第4楽章と言っている。
冒頭のトロンボーンによるメロディか?
実は似たようなメロディは第1楽章にも第3楽章にも出てきている。
あるいは、その後に出てくるHans himselfか?
いやいや、ここはオーソドックスに「歓びの精霊」だろうか?
しかし、このテーマも第3楽章で既に表れている。
こればっかりは当事者であるエルガーかローザに聞くしかないのであるが、こういうことを考えるのが楽しくて仕方がない。
今日、尾高さんの演奏中にエルガーさんが降りて来たら聞いてみよう。
尾高忠明指揮、東京都交響曲楽団によるエルガー交響曲第2番のジャッジ表をつけてみる。
1.Conductorは勿論Excellentの5である。贔屓目ではなく、これまでの実績と信頼がモノを言うのももちろん、実際ここに来て解釈の到達点と言ってよいだろう。少なくとも日本で鳴り響いたこの曲のベスト演奏であったと断言しても許されるだろう。他の指揮者なら許されないテンポの揺れなども作曲家の本質に寄り添った尾高ならではの解釈で説得力が増している。この点が他の人と尾高の違いでもある。
2.OrchestraはVery Goodの4。記憶に間違いなければおそらくこのオケがこの作品を演奏するのは初めてではなかろうか?あったとしても一度二度程度であろう。
それでもここまでの高みをキープして最後まで弾き切ってみせたのは見事である。最高点のExcellent ではないのは、例えば東京交響楽団のような英国音楽演奏の経験が豊富なオケならば基本的な注意点は指揮者が留意せずとも抑えられているので次の段階の解釈に移れる。それだけ解釈の徹底に時間を割くことが可能となる。その点はこれからの経験値によって克服することができるだろう。
3.Seat locationはP席なので決してベストなロケーションではないが細部までのディテールを感じることができる席であった。故にAvarageの3とする。
4.Audienceは本当に素晴らしい観客に恵まれたと思った。むしろこの日の一番の感動はお客さんの鑑賞態度だったかもしれない。音楽の聖地サントリーホールに聴きにくるお客さんはそれだけで違う。フライング拍手もフライングブラボーもなく演奏者に対する最高のリスペクトを表してくれていた。もちろん最高点Excellent の5である。
5.PablicityはExcellent の5である。解説はT先生の手によるもので、日本で信頼できる数少ないライターといえる。情報の確度、深度ともに申し分ないものである。もし自分が執筆したとしたら非常に違いものになったと想像できた。
25ポイント満点中の22ポイントとなり、100点満点換算で88パーセントの高得点をマークするという結果になった。
尾高さん指揮のエルガー2番。
素晴らしいものであった。
あれだけの演奏をすればエルガーにそれほど接していないリスナーにも充分魅力が伝わったはず。
いい演奏さえすればその作品に馴染みがないリスナーにも良さが伝わる・・という例は何度も見てきた。
今回は正にその好例といえるだろう。