愛の音楽家エドワード・エルガー

エルガーとエオリアンハープ ― 史実と背景

🎻 1. エオリアンハープ所有の事実について

 

博物館展示品として エルガー所有のエオリアンハープが存在する(「The Firs – Elgar’s Birthplace」の展示品説明に記載あり)。実際に館内に展示されているとする写真付き記述も確認できる。

 

ただし、いつ購入したか/どのように使っていたかといった公式資料は(公開されている一次史料としては)見つかっていない。

 

🎼 2. エオリアンハープとは

 

エオリアンハープ(風琴)は、風によって自然に弦が鳴る楽器で、19世紀~ロマン派時代にイギリスでも人気があった。風が弦を揺らして倍音を奏でる性質のため、詩的で神秘的な音色が特長。

 

 

🎹 3. では、エルガーはこの楽器を作曲に使ったのか?

 

結論から言うと、直接的に「これを使って作品を書いた」という明確な記録は確認されていない。

 

エルガー自身の手紙や日記、妻アリスの日記、伝記資料などにおいてエオリアンハープについての具体的言及は非常に限られている。

 

展示されている楽器が“所有品”として伝わっているに留まるため、音楽的な影響や使用については明文化された証拠は見つかっていない。

 

 

🎹 4. 可能性として考えられること

 

なぜエルガーがこの種の楽器に惹かれたのかについて、状況証拠からいくつかの観点が挙げられる:

 

① ロマン派的感性との親和

 

エオリアンハープは19世紀ロマン派の詩的な「自然の響き」「不可視の力」を象徴する楽器であり、エルガーが好んだ自然や田園的な美意識と合致する。

 

 

② 自然音楽の興味

 

エルガーは若い頃から多様な音色に興味を持ち、ヴァイオリン、筝(琴)や早弾き風の器楽を探求していた記録がある。
→ 実際に自宅に実験的な音具を置いたという逸話もあり、風琴への興味もこうした延長線上にある可能性もある。

 

 

③ 心理的・象徴的な魅力

 

自然の力で「音楽が生まれる」という存在自体が、エルガーの精神性(内面/自然観/神秘性)と響き合った可能性はあり。ただし、これは推測であって史実ではない。

 

 

📍 現時点の史実と限界

 

□ 所有の事実:
 → エルガーのエオリアンハープは博物館に展示されている所有品が存在している(史料としては展示品説明が主な根拠)。

 

□ 作曲で使ったかは不明:
 → 作曲活動と直接結びつく証拠は現時点で確認されていない。

 

□ 研究課題としての可能性:
 → エオリアンハープの所有が、エルガーの音楽観・自然観・器楽探索の延長に位置付けられるかどうかは、今後の史料発掘・研究次第(心理的象徴性・自然音響への関心と音楽家としての姿勢との関連を探る余地があるだろう)。

 

 

 

ショパンの練習曲 Op.25-1通称「エオリアン・ハープ」の影響?

 

ショパンの1837年作曲の練習曲 Op.25-1通称「エオリアン・ハープ」は絶え間なく流れる分散和音が、風に揺れる弦の響きを想起させる作品であるが、この通称はショパン自身ではなく後世の命名。エルガーはもちろんこの作品のことは知っていたと思われるが、その影響なのかは定かではない。

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