ウッド・マジック・・・最大の悲しみ

愛の音楽家エドワード・エルガー

東響/井上道義のエルガーチェロ協

東京オペラシティシリーズ 第133回
東京オペラシティコンサートホール
2023年06月03日(土)14:00
指揮:井上道義
チェロ:上野通明
東京交響楽団
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
エルガー:南国にて op.50
以下演奏ジャッジ
1.Conductor=Avarage 3pt.
2.Orchestra=Very Good=4pt.
3.Solist=Good=3.5 pt.
4.Seat location=Avarage=3pt.
5.Audience=Very Good=4pt.
6.Pablicity=Terrible=0pt.
Total 17.5/30pt. 58 %/100
2023年6月3日 東京オペラシティにおいて行われた東京交響楽団、井上道義指揮、上野通明独奏のエルガー作曲「南国にて」とチェロ協奏曲。
あまりにも萎えることがあったのでレビューは書くのはやめようと思っていた(理由は後述)。
しかし、これはやはり黙っていてはいけないと思い書くことにする。
演奏自体は流石に日本で一番エルガー作品の経験値が高いと言われる東京交響楽団だけに見事である。「エルガーの東響」と呼んでも差し支えないと思う。
特に「南国にて」でのカントポポラーレでのヴィオラ奏者のソロは聴きものであった。
ジャッジは上に掲げた通り30点満点中の17.5点。100点換算で58パーセントという芳しくない結果となった。「エルガーの東響」なのに・・・である。
まずCondutorの井上道義。彼の指揮するエルガーというのもほとんど聴いたことがない。おそらくこれまでもあまり取り上げたこともないのであろう。
まず、こういう場合あまり良い結果にならないことが多いのであるが、どうしてどうしてなかなか健闘していたと思う。
先に聴いた同じくエルガーという作曲家に共感が薄そうな指揮者(他団体)による締まりのないエニグマのようにはならなかった。
「南国にて」ではカントポポラーレに主眼を置いたかのようにテンポの伸縮を見せ明らかな聴かせどころの意識した演出も見られたのは流石としかいいようがない。
協奏曲ではソリストのサポートに徹して決して出すぎることもなくスマートにドライブして見せた指揮は好感の持てるものである。
Orchestraは日本で一番エルガー作品の経験値が高い東響、目をつぶってもチェロ協を伴奏できるのではないか・・・というくらいものにしているので実に安定したドライブだ。
正に「エルガーの東響」の面目躍如だ。
Solistの上野通明も若々しく瑞々しい響きを聴かせてくれた。先の演奏ではルトスワスキーの超難曲を見事に弾き切ったのでテクニック的になんの問題もなかろう。
少し緊張しているのかな?というのが一部音の揺れから聴こえてはきたが、こちらもこの曲をこのまま温めてくれたら凄い演奏になることは十分感じさせてくれた。
Seat location。オペラシティのP席というのは初めて座った。ステージとの距離が非常に近く打楽器奏者と金管奏者の姿が全く見えない。
これでは金管と打楽器が近すぎて弦セクションやソロが聴きづらいかな?と心配したが、意外に大丈夫だった。
それは打楽器金管の姿が見えないということは席の前の策が防音状態になって結果的にそれほどバランスが悪くならずに聞こえるという結果になった。
Audienceも申し分なく、目立ったマナー違反もなく、皆さん演奏に集中していたので安心できるものである。
Pablicity。これが問題あり。採点上の最下点はPoorの1点を設定しているが、今回はそのPoorの1点も差し上げることができない。
プログラム上の作曲者エルガーの名前のスペルが間違っている。
Elgar←〇 
Elger←✕
解説中で、例えば研究者の間でも意見が分かれるような専門的内容での事実誤認なら許せる。
しかし、作曲家の名前は、いわばデフォルトの情報である。
仮に、これが例えば指揮者井上道義の名前を間違えたとか、法人プラチナ会員の企業名を間違えたとしたら大問題になるだろう。
それと同じ次元である。名前を誤植されて気分が悪くならない人はいない。私はエルガーのスポークスマンであるという立場を取っているので看過できるものではない。自分の名前を誤植されたのと同じだと感じている。
物を売る立場で考えてみよう。売る商品の名前を間違って売るバカがいるだろうか。
さらにまずいのは日本で一番エルガー作品の経験値が高いと言われ「エルガーの東響」とまで例えられる東京交響楽団でこういうことがあったということ。東響にとってエルガーは、いわば主力商品。
そこらのオケがそういうミステークをやらかしたというのならここまで目くじらは立てない。
さすがにとても残念で悲しかった・・・。この減点は痛い・・・・。
いくら演奏者が頑張ってもスタッフ部門がこういうことをやっていたら全体の印象にも関わってしまうのである。
コンサートとはチームプレイだから、パブリシティの失態はチーム全体の失態となってしまう。

 

東響/井上道義のエルガーチェロ協

なにやってんだか?

このエントリーをはてなブックマークに追加

愛の音楽家エドワード・エルガー電子書籍はこちらからどうぞ

東響/井上道義のエルガーチェロ協

エドワード・エルガー 希望と栄光の国

東響/井上道義のエルガーチェロ協

愛の音楽家 エドワード・エルガー

関連ページ

のだめカンタービレでのエルガー
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
《チェロ協奏曲(Concerto in E minor for violincello and pianoforte, op. 85)》
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。《チェロ協奏曲(Concerto in E minor for violincello and pianoforte, op. 85)》
弦楽四重奏弦楽オーケストラ版
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
ピアノ五重奏曲管弦楽版
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ピアノ五重奏曲管弦楽版
一枚の写真
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
映画「ター」について
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
ナイチンゲールのべアトリス・ハリソン
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
「呪いの音楽」
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
演奏評における精神論~エルガー/チェロ協奏曲
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
ヨーヨー・マのチェロ協奏曲
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
『 エルガーのエニグマ』
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ
ピアノ三重奏曲のための3つの楽章
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。ウッド・マジック・・・最大の悲しみ

ホーム RSS購読 サイトマップ

先頭へ戻る