再びロンドンへ

愛の音楽家エドワード・エルガー

エルガーの「連合の歌」

1924年ロンドンのウエンブリースタジアムにて大英帝国博覧会が開かれた。
実行委員会から委嘱を受けたエルガーは、8曲の歌曲からなる「帝国のページェント」と帝国行進曲を作曲し献呈している。

 

この博覧会中に初演が行われた。
当初この曲は開幕式で演奏される予定であったが、時の国王ジョージ5世はこの曲ではなく希望と栄光の国の合唱バージョンの演奏を強く希望したため、開幕では希望と栄光の国が演奏されることになった。
そのことはエルガーを大いに憤慨させるに十分だった。

 

結果的には博覧会もエルガーの作品の初演も成功には終わったのは救いであったといえるだろう。

 

 

帝国のページェントの8曲目に連合の歌がある。このメロディをエルガーはとても気に入っていたようで、その後色々な所で引用を試みている。
まず、帝国のページェントと同時に作曲された帝国行進曲においてもこのメロディを引用しており、トリオのテーマとして印象的に使われているのである。

 

さらに、エルガーの没後にアンソニー・ペインによって補完をみた行進曲「威風堂々」第6番にも使われている。ただこれは補完作品なので、この素材をピックアップしたのはペインの可能性もあるが、おそらくこの部分はエルガーの選択だと思われる。

 

そして、この素材はポール・エイドリアン・ルークが補完した3楽章からなるピアノトリオの3楽章でも登場する。
こちらも補完ではあるものの、この素材はエルガーのスケッチの中にあったものをルークが組み立てたものである。
こちらはグラフトン・マーチと命名されている。グラフトンとはエルガーの姉ルーシー(ポリー)一家のことである。
エルガーとルーシーは生涯にわたって仲が良くルーシーの嫁いだグラフトン一家とは家族ぐるみの付き合いが続いた。
エルガーはそんなグラフトン一家のためにグラフトンマーチを作曲したのであった。

 

まとめると、
連合の歌
=帝国行進曲のトリオ
=グラフトンマーチ
は1924年の作曲と見てよいと思う。

 

「威風堂々」第6番のトリオに関してはもう少し後のことだろう。おそらく1933年ころと思われる。
エルガー生誕150周年の記念の一環として2006年にアンソニー・ペインの補完によって完成。

 

 

連合の歌(1924)

 

帝国行進曲(1924)

 

 

3楽章のピアノトリオの第3楽章グラフトンマーチ(1924)

 

 

行進曲「威風堂々」第6番(1933-2006)

Elgar, Gurney & Hurd: Sea Pictures & Pageant of Empire

エルガーの「連合の歌」

Elgar: The Crown of India, Imperial March, Empire March & Coronation March

エルガーの「連合の歌」

Elgar In Sussex

エルガーの「連合の歌」

エルガー:「威風堂々」 第1番~第5番、第6番、弦楽セレナード

エルガーの「連合の歌」

このエントリーをはてなブックマークに追加

愛の音楽家エドワード・エルガー電子書籍はこちらからどうぞ

エルガーの「連合の歌」

エドワード・エルガー 希望と栄光の国

エルガーの「連合の歌」

愛の音楽家 エドワード・エルガー

関連ページ

ローレンス・ビニヨンの音楽
英国の作曲家エドワード・エルガーの人生や作品を詳しく解説した同名の書籍のウエブサイト版。再びロンドンへ

ホーム RSS購読 サイトマップ

先頭へ戻る