愛の音楽家エドワード・エルガー

愛の音楽家エドワード・エルガー
 

愛の音楽家エドワード・エルガー

 

 

 

まえがき

 

 日本では、「波乱万丈」という言葉が好まれる傾向がある。歯を食いしばって苦闘を乗り越え最後に、歓喜を迎える。そういうストーリーや、そういう人生を歩んだ人物を好む傾向がある。音楽でいえば、ベートーヴェン。あの「第九」の音楽そのものが、日本人好みの波乱万丈そのものを表している。
 そんな理由からか、日本でのエドワード・エルガーの人気も今一つピンと来ない。確かにエルガーという人は、そんな波乱万丈の人生に一見無縁なように見える。多くの歴史上の偉人や音楽家たちが華々しい異性遍歴を繰り広げたのに対して、エルガーは終生一人の女性を愛し続け、命のやり取りを掛けた凄まじい修羅場に遭遇することもなかった。確かに、彼の伝記は他の波乱万丈な人たちの伝記と比べてみてしまうと読んでいて面白くないかもしれない。それに彼の作品にもベートーヴェン的な闘争が表現されることもない。
 だが果たしてそれは真実なのか?彼の人生をよく見てみると、何度も壁に突き当たり、挫折を味わっている。彼が作曲家として名声を得るまでに味わった挫折の数々・・・・。第一次世界大戦という未曾有の惨事によって変えられてしまった周囲の環境。作曲様式そのものの変革による時代からの攻撃。自らのモチベーションを犠牲にしてまでも外面的依頼を優先させねばならなかったジレンマ・・・そして、それに伴う周囲の無理解。それは作品をよく聴きこめば、彼の作品に込められた二面性の存在に気がつくはず。さらに創作意欲そのものまでを根こそぎ奪わってしまうような悲劇・・愛妻の死。 一人の人間が一度の人生に味わう苦悩として十分というほどの苦悩を体験しているのである。
しかし彼の作品には、そういったマイナスを感じさせるような要素とは無縁な穏やかさや温かさ、ぬくもり、誠実さといったものあふれている。そう、それこそがエルガーの音楽の魅力なのだ。彼の音楽にはそういった苦悩をも包み込む温かさ寛大さがあふれている。
 これまで日本では、行進曲《威風堂々》と《愛の挨拶》といったほんの一部の曲でしか名前を知られていなかったが、ここ数年、やっと我が国でもエルガーという作曲家が受け入れられつつある感がある。
 日本におけるエルガーの受容の歴史も、今新しい時代を迎えつつあるのだ・・・と生誕150周年を経過し、あらためて実感している。ぜひ、エルガーの新たな魅力をリスナー一人ひとりが発見していただき、よりこの作曲家のことをもっと知っていただけたらと願わずにいられない。

 

なお、作品紹介の参考としてCDや書籍などはAmazon.comの販売ページへのURL(URLが長くなる場合には短縮URL)を記載してあるので、参考にしていただければ幸いである。CD番号を記載しても再発されてすぐ古くなってしまうので、この方法のほうが便利かとも思う。

 

また本サイトは書籍を読み進むのと同じようにページ順に読み進めるように下の欄に次ページと前ページへのリンクがあります。

 

 

英国エルガー協会会員
日本エルガー協会代表
著者:サイト管理人
水越健一


 
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