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再びロンドンへ

愛の音楽家エドワード・エルガー

再びロンドンへ

 

 「プラス・グィン」での7年間に傑作の数々を作曲し売れっ子となったエルガーは、度々ロンドンへ出て行く機会が増えた。そのためにその都度ヘリフォードから列車で2時間以上かけてロンドンへ出るには無理があると判断したエルガーは再びロンドンで家を探すことになった。ウィンドフラワーことアリス・ステュワート・ワートリーが見つけてきたハムステッド、ネザーホール・ガーデン42番地にある邸宅は、閑静な環境にあり、エルガーを満足させるものであった。ハムステッドは、キース、シェリー、ゲインズボロや夏目漱石といった芸術家に好まれた街である。こんなところがラファエル前派の1人であったジョン・エヴァレット・ミレーの娘のウィンドフラワーらしい選択といえるだろう。
 そして 1912年1月1日エルガー55歳の時、再びロンドンへと転居することになる。無名の頃ウェスト・ケンジントンに住んでいた時代の苦い経験は忘れてはいなかったが、今回は前回と事情はかなり違うものだった。このロンドンの家は、故郷セヴァーン川とその流域に思いを馳せて「セヴァーン・ハウス」と名付けられた。この家はアン女王時代の建物で、ちょっとしたリサイタルなら開ける広さの音楽室、ビリヤード室まで完備していた(現在の建物は建て替えられている)。ビリヤード台は、エルガーの趣味である生物学研究用の顕微鏡台となる。
 ここでエルガーが迎えた大きな出来事は1914年に勃発した第一次世界大戦である。当初依頼されれば国威高揚的な曲も書いていたが、戦局が進むにつれて嫌気がさしてきた。まず戦争の相手が彼の愛する国ドイツであること、そして1901年というエルガーにとっては最も大切な時期に書かれた気に入りの作品(《希望と栄光の国》)が、軍歌のように使われたのが気に喰わなかった。

 

 

 この「セヴァーン・ハウス」で作曲された作品は、組曲《インドの王冠(The Crown of India, op. 66)》(1912)、《ミュージック・メイカーズ(The Music Makers, op. 69)》(1912)、交響的習作《ファルスタッフ(Symphonic Study, Falstaff in C minor, op. 70)》(1913)、《カリヨン(Carillon, op. 75)》(1914)、《スターライト・エクスプレス(The Starlight Express, op. 78)》(1915)、カンタータ《英国精神(The Spirit of England, op. 80)》(1916)、バレエ音楽《真紅の扇(The Sanguine Fan, Ballet, op. 81)》(1917)など。特にエルガー自身は《ファルスタッフ》を傑作として評価していたという。カンタータ《英国精神》は第1次世界大戦の犠牲者に対するレクイエム的な存在で、終曲「戦没者へ捧げる」は戦勝記念日に単独で演奏されることが多い。
 《ミュージック・メイカーズ》は、アーサー・オショーネシーの詩を基に作曲されたもので、エルガーの自伝的で回顧的作品へと仕上がっている。しばしばリヒャルト・シュトラウスの《英雄の生涯》が引き合いに出されるように、この作品には彼の過去の作品が数多く引用されている。《エニグマ変奏曲》、《ゲロンティアスの夢》、《海の絵》、《交響曲第1番》、《交響曲第2番》、《ヴァイオリン協奏曲》など、自作からの引用の他、《ルール、ブリタニア》と《ラ・マルセイエーズ》も登場する。
 この家に住んでいる時代のもう一つの出来事は1914年に初めて行ったレコーディングであろう。前年の1913年に作曲した小管弦楽曲《カリシマ》を最初に録音した。
 しかし、戦争よりももっと悲しい出来事を、エルガーはこの家で体験しなければならなかった・・・。

 

再びロンドンへ

 

 

〔参考CD〕
*組曲《インドの王冠》 ギブソン指揮/スコティッシュ・ナショナル管 
 1912年ジョージ5世のインド行幸を記念して上演されたマスクで、スコアは大部分失われているが今日5曲からなる組曲がよく知られている。エルガー、バレンボイム、グローヴス、ギブソンらの録音があるが、このギブソン盤の威厳にあふれた演奏が素晴らしい。
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*カンタータ《ミュージック・メイカーズ》 ヒコックス指揮/LSOほか
 エルガーの作品の引用オンパレードで、ファンにとっては楽しい曲である。ヒコックス盤は強固なフレーズとバランスの取れた合唱の響きが光る。
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*交響的習作《ファルスタッフ》 ラトル指揮/バーミンガム市響
 エルガー自身は大変気に入っていた作品で、アビー・ロードのこけら落としで、わざわざこの曲を選んでいるほど。バーミンガム時代のラトルの演奏は、スッキリとまとめながらもダイナミックさも併せ持っている。
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*《カリシマ》 エルガー指揮/交響楽団
 1914年にエルガーが行った記念すべき録音第1号となった小品。作曲者自身の演奏が最も情感あふれ、録音状態が悪いながらも感動的だ。
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*《スターライト・エクスプレス》 ハンドリー指揮/LSOほか
 エルガーのノスタルジー志向がタップリ感じられる曲。内容的にはたあいのない作品であるが、エルガー、コリンウッド、ハースト、マッケラス、ハンドリーなど、なぜか結構録音が残っている。エルガーのファンタジーあふれる不思議な魅力をもった作品だ。
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*カンタータ《英国精神》 ギブソン指揮/スコティッシュ・ナショナル管ほか
 録音はギブソンとヒコックスなどの録音あり。録音の良さでギブソン盤を挙げたい。
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*バレエ音楽《真紅の扇》 トムソン指揮/LPO 
 エルガー唯一のバレエ音楽。《ピアノ協奏曲》として作曲された部分もこの曲として引用されている。Amazon.comの短縮URL http://tinyurl.com/64kghn

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