オラモ指揮、王立ストックホルム管によるエルガー交響曲第2番
サカリ・オラモ指揮、王立ストックホルム管によるエルガー交響曲第2番。
オラモのエルガーといえば、BBCプロムスなどで幾多のエルガープログラムを取り上げ、その演奏には十分定評がある。特に彼の指揮する「使徒たち」などは恐ろしいほどの名演だった。これまで彼の指揮するエルガー作品がリリースされなかったことが不思議なくらいだ。
ここに聴かれる交響曲2番の流麗な響きは、かのプレヴィンを上回る。軽い響きではあるがしっかりとした軸足でどっしりと曲の本質を捉えているのだ。
特に核心部分となる第4楽章の慈しみ深い表現には涙を禁じえない。
特筆すべきは、この録音は、ハンドリー、マッケラス盤に続く第4楽章オルガン入り盤なのだ。本当にオルガンバージョンでの効果は絶大なものがある。どうか確かめてみてもらいたい。
ちなみに1947年3月の王立オルガン・カレッジにおけるボールトのレクチャーによると、楽譜にはないが、第4楽章の最後にオルガンを加えてもよいということだ。場所はスコア番号の165番の8小節後で、楽章開始から10分ほどの「喜びの精霊」のテーマが最後に出てきてディミヌエンドする部分。不思議なことにボールト自身の録音では、オルガンを入れていないのだが、ボールトの直弟子ハンドリーによる録音によって、このオルガン版を聴くことができる(これに続くのがマッケラス盤と今回のオラモ盤)。これは元々エルガー本人がボールトに教示したとされているが、この辺の真相も定かではない。